Leon Bridges(リオン・ブリッジズ)は米テキサス州フォートワース出身。ソウル・R&Bのシンガー・ソングライターである。
目を閉じて彼の歌を聴くと往年のソウルシンガーのよう。そんないぶし銀の声の持ち主なのだが、1989年生まれの若者である。
『Bad Bad News』はR&Bでありながらビバップ・ジャズ的なアレンジとエレクトロピアノがかっこいい。
話は変わるが、米国のオバマ元大統領が毎年末に自身のTwitterにて<今年お気に入り>の本・映画・音楽などを発表している。
彼が2018年の「お気に入りの音楽」の一つにこの『Bad Bad News』を挙げたことで一躍話題となった。
が、実はブリッジズとオバマ元大統領の関係はもう少し遡ったところから始まる。
ブリッジズのデビュー間もない2016年、つまりオバマ氏の現職大統領時代に、ホワイトハウスでパフォーマンスを披露しているのだ。
当分の間売れないミュージシャンをやりながら、地元のRosa's Cafeというメキシカンレストランチェーンで皿洗いをしていたというブリッジズ。
このエピソード 地元民の間では有名なようで、YouTubeを見るとその頃の彼を知っているかのようなコメントが多々見られる。
例えば「掃除しながら歌う彼は本当に素敵だった」「知ってる。俺が当時の店長だったんだ」…とか。真偽は不明ながら読んでいるとなかなか面白い。
ホワイトハウスでのインタビュー映像で、彼はつい数年前までと今の状況の変化が信じられないと述べている。
そう語る一方で見せる若者らしからぬ落ち着きには、自らの音楽に対する確固とした信念を感じ取ることもできるのだ。
お金も無けりゃまともな教育も受けちゃいない。タイトル通り人生には悪いことばかり。
でも強いハートさえあれば昼も夜もオーライなのさ。そんなブラックミュージック王道の歌詞も非常に良い。
歌はこう締めくくられる。
<奴らは俺を負け組と言った だけど俺は最悪な出来事も最高な人生に変えてやったのさ>
文字通りアメリカンドリームを掴みとった青年の歌には、とてつもない説得力が宿るのである。
ちなみに、黒人英語ではbadを「スゲー良い」というような意味で使うことがある。
これも念頭に入れてダブルミーニングとして聴いてみると、また違った表情を見せてくれる。
You may also like...
fantastic-tube-show.hatenablog.jp