期せずして「STAY HOME」曲がバズっている。
イギリスの若手シンガー・ソングライターDua Lipa。
2015年にデビューして以来、ここ2~3年での活躍は目覚ましくあっという間にセレブリティの仲間入りを果たしてしまった。
既に高い認知度を得た彼女にとって今さらバズるも何もない、しかし。
2019年12月にアルバムのプロモーションのために発表した曲が、まるで数か月後の未来を予言していたかのようだったのだ。
このために、今まで彼女を聴いてこなかった層からも急激に注目を集めることになる。
歌が紡ぐ人物は、いつも自分から別れを切り出してしまう女性。
けれど、あの日偶然話しかけてきたあなたは手放せない。もしかすると彼が初めて私にさよならを告げ、私の心を壊す人なのかも。
こんなことなら、出かけたりせずに家にいれば良かった――それがこの歌の主題なのだ。
サビに登場する"I should've stayed at home"という歌詞がまさに今、未知の病から身を守るための合言葉のようになっているのである。
1、2、3のリズムに合わせてstayed, at, homeとハマるキャッチーさも完璧。
バックトラックはゴリゴリの80年代ディスコテイストだが、これはオーストラリアのバンドINXSのNeed You Tonightのサンプリングであることが明かされている。
ギターリフとアフロなパーカッションの効果で、ロックでありファンクでもある絶妙なサウンド。Heartが「ハアィト」に聞こえる独特なアクセントがクセになる。
ミュージカル映画のごとく目まぐるしくシーンが入れ替わるMVもカッコいいし。
本楽曲はLipaの2枚目のスタジオアルバムFuture Nostalgiaに収録。
4月3日のリリース予定だったのを2週間前倒しの3月27日としたのは、世界中の人間が「自宅待機」を余儀なくされている現在の状況と無関係ではないだろう。
DJDDがこの曲の存在に気付いたのは、米著名司会者のジミー・ファロンがホストを務めるTVショー、THE TONIGHT SHOWだった。
通常は生放送のアメリカのバラエティ番組も軒並み「在宅勤務」で、楽曲披露も全て「At Home Edition」となっている。
そのような中、<家にいるべきだったのね>というメッセージ。これほど時宜にかなったものもないという反響の嵐である。
この曲を本人自ら披露するプレミアの場がこのような形になったのは、もはや運命的であると言わざるを得ない。
しかしまぁ、ロンドンの自宅で座って歌うだけなのにこの圧倒的なパフォーマンス。途中でちょっと歌詞を飛ばすところもリアルで良い。
映像加工も実にクール。YouTubeコメント欄では「Zoomのバーチャル背景」なんていうジョークも。
何というか、外に出ずともできることはいくらでもあるんだなと、つくづく実感した。
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