このMVが非常に好きなんですよねぇ。
喋っているような自然な表情に、流れるようなダンス。
何より、2番のサビあたりからずっと、その辺の人が普通に写り込んでいるのが最高である。
タイトルのcomethruとは、come throughを省略したスラング。
この楽曲では、<会いに来てくれない?>程度の意味で使われている。
日が沈むころに目覚める生活。何ともなしにスマホをスクロールし、面白くもないSNSをずっと眺めている。
で、特に素晴らしいのがサビの始まりの歌詞である。
<今震えてるんだ コーヒーを飲みすぎちゃって この数週間で疲れ切っちゃった 想像の中で迷子だ>
ただ怠惰な生活を送っているのではなく、孤独の中で創作活動に没頭するあまり、気力を失っている状況だろうか。
ここでcomethru、つまり<ちょっと会いにきてくれない?>というささやかな願いが登場してくるわけだ。
ニュージャージー育ちのJeremy Zucker、この曲の発表当時22歳という若さだったが、Spotifyでは2億回再生を達成している。
アレンジは実にシンプルで、抑制のきいたエレキギターとフィンガースナップが基本。
時折ベースとドラム、最後にちょこっとピアノが顔を覗かせるだけなのに、全く飽きさせないのがお見事である。
ダンスミュージックが主流のポップス界においては、ドラムンベースの重低音は必須であるが、それが主流になると時にうんざりしてしまうのも事実。
そんな耳に爽やかなそよ風を運ぶような、優しいアレンジなのが嬉しい。
詞の内容もトラックも、疲れた時に聴くとふっと気を抜ける。老若男女問わず親しめる歌と言えるだろう。
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