大阪育ちのシンガー・ソングライター、Joji。
2020年にリリースしたセカンドアルバムNectarに収録される楽曲の中でも、とりわけ注目に値するのがこの曲。
国籍こそ日本ではないものの、"日本人"があのDiploとコラボする時代がきたかと思うと、感慨深いものがある。
彼が所属しているのはアメリカで設立された88risingというレーベル。韓国を中心に、主にネオソウル界で活動するアジア出身者が集う場所である。
まぁアングラ的と言えるのだが、それがこんなに予算のかかってそうなMVを作れるとは、Diploパワー恐るべしである。
「アジア人がアメリカのエンタメ界で成功するのは不可能」と言われたものだが、K-POPの台頭もあり、それも変わってきているのかもしれない。
ベースにはしっかりとR&Bがありつつ、重めのテクノアレンジが施されている。
そしてJojiの楽曲は毎回歌詞が特徴的。洋楽の歌詞は直接的な心情や語り掛けが一般的だが、彼の歌詞には情景描写が目立つ。
場の空気・時間の流れ・行動などを通して心情を描くという、なんとも詩的・暗喩的な表現が多いのだ。
この辺りは日本の歌に通じるものがあるし、アメリカでも熱心なファンを生むことにつながったのではないかと思っている。
daylightとは日光とか白昼を表す言葉だが、Jojiはこれを無気力の象徴のように扱っているように見える。
何かに失望した「かつてのヒーロー」は冴えた目で夜中を迎え、酒に溺れる。夜明けも鬱陶しく、日中はテラスに横たわりながらFMラジオに合わせて口ずさむだけ――
ともかく、本格的に音楽に取り組み始めた2017年から着実にステップアップしているJojiだが、かつてわりと過激なYouTuberだったことは周知の事実である。
YouTubeのコメントには「(当時のトレードマークだった)ピンクの男がいない」「鼻でタバコを吸うようなやつだったのに」などと往時を懐かしむようなコメントも散見されるのが、ウケる。
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