Portugal. The Manはアラスカ州で結成されたバンド。現在は活動拠点をオレゴン州ポートランドに移している。2018年にはサマーソニック出場のため来日も果たした。
バンド名の「ポルトガル」のインパクトが大きいが、彼ら自身には縁もゆかりもない。ただバンド名に国名をつけたいと思い、最初に浮かんだのがポルトガルだったというだけのようだ。
Feel It Stillは、2017年発表の8枚目のアルバムWoodstockに収録のシングル曲。
何といってもボーカル・John Gourleyの声の高さにびっくりである。
軽快なナンバーはファレル・ウィリアムズのHappyを彷彿させるが、モータウン所属だったバンドThe MarvelettesのPlease Mr. Postman(1961)のサンプリングである。
バンド最高のセールスとなっただけでなく、第60回グラミー賞における「ベスト・ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞」を得た。
そんなこの曲、普通に好きで聴いていたのだが、2020年に入ってMVをぼーっと見ていたら気付くことがあった。
BlackLiveMatterで象徴的に使用されている、あの「拳のイメージ」が一瞬登場するのである。
そこで改めて歌詞を読んでみたが、これがまた難解。ヒッピー的な反戦ソングなのかな~…などとも思えるのだが、「1966年」と「1986年」というふたつの年がキーとなっていることが分かる。
もちろん世界中では常にあらゆることが起こっているので、あくまで「アフリカ系アメリカ人の処遇に端を発する運動」という面に着目して歴史をひもといてみると…
まず、1960年代からアメリカで公民権運動が盛んになったという背景がある。
この流れの中で、1966年9月には連邦政府が人種差別撤廃条約に署名し、大きな転換点を迎えた。
その一方、実態はどうだったであろう。1966年と1967年に黒人による大規模な暴動がアメリカ各地で発生。これがやがて1968年にいたり、キング牧師暗殺という事件を引き起こすことになる。
<1966年に終わったはずなんだけど 俺の中ではそのときからずっとくすぶってる>
一応はこのときに解決されたと思わされている人種問題が、現代にも根強く残っていることを示唆しているともとれるのだ。
2020年になって大きなムーブメントが表出したが、その前からもうず~っと、誰もが考え続けていることなのだろう。
次いで1986年は、<1986年みたいに始めたいんだ>と言及されている。
これはまったくの謎。この年にアメリカで起こったことの中で関係がありそうなのは、移民改革管理法の制定ぐらいか。ただ、この曲の文脈で語るにはインパクトが弱い。
他にも特徴的な記号や人物たちが断続的に登場し、なんとなくサブリミナルのようで不気味。陰謀論好きにはとても楽しめる映像かもしれない。
ちなみに、前述の1986年には日航機がアラスカ上空で未確認飛行体に遭遇している。MVで宇宙人が踊っているのは、まさかそれが関係しているとは…考えすぎか。
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