過日、友人がインドでの結婚式に招かれた。新郎がインド人、新婦が日本人である。
事前にその話を聞いていたDJDDは、ボリウッド顔負けのフラッシュモブに期待していた。が、友人が参列したのは南インドの結婚式。一斉に踊りだすのは北インドの習慣だったらしい。
それで友人たちが「あ、踊らないんだね…」などと囁いていたところ、会場がにわかにざわめき始めた。インド人たちの間で「日本人が踊りたがってるぞ」「曲をかけろ!」とあいなったらしい。
そんな中、新婦サイドが仕込んでおいた楽曲のひとつがこれだったそうな。
何と言ってもハピサマが世代なDJDD。懐かしいと思って久しぶりにちゃんと聴いて、たまげたのである。
めちゃくちゃな曲であった。もちろん、良い意味で。
よく、ミュージシャンがつんく♂作曲のハロプロ楽曲についてこのように評している。
音楽のセオリーを完全に無視しているにもかかわらず曲として成立しているのがすごい、と。
それを端的に表しているのがハッピーサマーウェディングではなかろうか。
あの頃なっちとゴマキは凄まじかったとか、辻ちゃん加護ちゃんが楽しそうなのを見るだけで泣けるとか、姐さんのセリフの圧が強いとか、そんな分かりきったことはこの際どうでもいい。
まず、THE BEATLESのOb-La-Di, Ob-La-Daを彷彿させる、レゲエ調のバックトラック。
これに思いっきりファンクなブラスサウンドが乗っかるという、支離滅裂かつ全くウェディングっぽくない仕上がりなのだ。
さらに言うと、イントロと衣装とコリオグラフィーだけ、無駄にアラビアンなのである。注意深く聞いていると、曲中でもたまにシタールっぽい音がする。
そして、最も驚くべきポイントは転調である。
D Majorで始まると、そのままパラッパラ♪とAメロに入る。まずはBメロで雰囲気が変わり、E MajorとA Majorを繰り返す。
そして、衝撃の<Pa Pa Palaのアチャー>。この瞬間、これまでの音世界から完全に外れたC Majorが鳴ったかと思うと、そのままF Majorのサビに流れ込むのだ。
この時点で、いかに伝統的な音楽理論というものから外れた集団であるかが十分に分かるだろう。
しかし、恐るべき「違和感」はこの後も続く。
サビがF Majorで終わるのに、強引にD Majorのイントロに戻るという荒業をやってのけてしまった。この瞬間、ちょっと時空が歪んだように感じるのはこのためだ。
一方、アウトロはF Majorのまま突き進む。ラストだけ転調を免れたことによって、逆に最高の高揚感をもって終われるのである。こういう手法はなかなかお目にかかれるものではない。
話は友人の結婚式に戻る。この曲、インド人にもまぁまぁ親しみやすい曲調だったためか、インド人の参列者たちも爆踊りしていたようだ。
「モーニング娘。が国際交流の起爆剤となった」という多幸感あふれる余談付きだったのである。
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