ノルウェーのDJであるKygoは、ディープ・ハウスやトロピカル・ハウスといったジャンルを中心にプロデュース業も手掛けている。
2014年のデビュー後すぐにメジャーシーンに頭角を現すが、世界的な注目を集めるようになった契機は2016年、リオデジャネイロ・オリンピックの閉会式への出演である。
Higher Loveの原曲は1986年、イギリスのミュージシャンSteve Winwoodが発表したもの。80年代ディスコ感を見事に取り入れたロック・ナンバーである。
これをWhitney Houstonが90年にカバーし、Kygo版ではそのボーカルをサンプリングしている。
2012年、 翌日に控えたグラミー賞を前にした突然の死で、世界に驚きを与えたホイットニー。彼女の声が7年の時を経て蘇ることとなった。
ところでこの曲のサンプリング元は、彼女の3枚目のアルバムI'm Your Baby Tonight(1990)の日本版にボーナス・トラックとして収録されていたものである。
音源としては日本にしか流通していなかったという不思議なトラックなのだ。
Kygoのリミックスでは、特徴的なブラスセクションの音はそのままに、より現代的なダンストラックに料理されている。
<私を愛の高みへと導いて>と力強く繰り返される歌が望むものは、特定の個人の間の愛というより、この地上に遍く広がる愛――神の恩寵のようなものかもしれない。
圧倒的な才能とともに天高く旅立ったホイットニー、その姿を重ね合わせるファンも少なくないようだ。
MVでも80年代へのオマージュが垣間見える。
You may also like...