天才、鬼才、前代未聞。Jacob Collier君を形容しようとすると、どんな言葉も陳腐になる。
ロンドンに生まれ、音楽一家であった母方の才能を引き継いだ彼は、バイオリン奏者の母からクラシック音楽を、イギリスの王立音楽アカデミーではジャズピアノを学んだ。
この辺りの音楽が彼の活動の中心なのかと思いきや、その音作りはEDMなのかコンテンポラリーなのか、はたまた全く新しい何かなのか…?もはやジャンルというものがバカバカしく思える。
さらに、夥しい数の楽器と夥しいラインのコーラス、これらを全て自分で構築・録音し、ライブパフォーマンスまでやってのけるのだ。
若くして、生きながらに、現在進行形で伝説を作り上げている新世代のアーティストなのである。
そう、強いて言うならアーティストという言葉が一番しっくりくるのだろう。
まぁ多分本人は何とも思ってなくて、ただ音を作るのが純粋に楽しいからやっているだけ、というタイプに見受けられるけれど。
これまでに何度か来日公演をやっていたのだが、タイミングが合わなかったり金銭的な余裕が無かったりで、結局一度も行けずじまい。
もたもたしていたら、あっという間に数度のグラミーに輝くスーパースターになってしまった。
…ま、それは良くて。Collierは2018年からDjesse(ジェシー)というプロジェクトに取り組んでいる。
これは全40の楽曲からなる四部作。もとは1枚のアルバムに収めるつもりだったようだが、あらゆるジャンルへの興味が尽きない彼のこと。
創作の泉が湧き出てもう大変!ってなことになり、結局四つの連作とすることに決めたそうである。
既に発表済みのVol.1はオーケストラとのコラボレーションをメインに据えたクラシカルな作風。Vol.2は民族音楽的なコレクションになった。
彼の才能に惚れ込んだ大御所も多く、音源・実演含めさまざまな豪華コラボレーションも実現している。
本楽曲はエレクトリックな作品を集めたVol.3に収録される予定だが、発売日は未定。その前に先行シングルとして発表されたようだ。
in my bonesとは「生まれつき」という意味の熟語。
このファンキーなフィーリングは生まれつき僕に備わっているんだよ、そんなメッセージを疾走感溢れるビートに乗せて放ちまくっている。
メインシンガーとしてフィーチャーされるKimbraは、ニュージーランド出身のシンガー・ソングライター。
アイドル然としたルックスから繰り出されるエキセントリックなパフォーマンスに定評があり、このブッ飛んだ楽曲には適任である。
そしてラップ担当は、米国ニューオーリンズの新星ソウルバンドTank and The Bangasより、フロントレディのTarriona "Tank" Ball。この人もかなり個性的である。
ともすればこの3人のコラボレーションはひっちゃかめっちゃかになりそうなところ、強烈な緊張感とともに均衡を保っているところにゾクゾクするのだ。
この曲、カシオペアとかがやってそうなフュージョンみがある。
めくらめく変拍子、そしてCollierのお家芸であるネガティブ・コードをご堪能あれ。
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