'20(ツーゼロ)としての第一弾シングルに、ひどく胸を打たれている。
つんく♂氏のブログを読んで、並々ならぬ気合の入った曲であることは知っていた。
しかしまぁ実際に聴いて度肝を抜かれたというか…
EDMのようでいて空間音楽のような音づくりでありながら、サビは極上のR&Bでもある。バラードとも異なる、踊れるビート感も絶妙。
何より、これを聴いた途端ハロプロの、モーニング娘。の曲であることが分かる…というのがつんく♂節の恐ろしいところ。「ちなみにストリングスは生です」。
Bメロ、掛け合いからハモって一つになる流れなんか美しすぎではないだろうか。
Bメロとサビを繋ぐきらめくようなピアノの音色。降り注いでくる水の中を上昇していくような、神秘的な高揚を覚える。
そして甘美なるサビ。
<君が好きさ>というこのうえなくストレートな歌詞を持ちながら、一般的な「恋」を歌ったものではないことがすぐに分かる。
自分を想って叱ってくれる家族だったり、指導者、仲間、そしてファン…モーニングのメンバーに当てはまることのようにも思える。
そして<だから君も More 愛して>。
生身の人間同士の関係が希薄である現代、性別とか立場とか関係なく、もっと人を愛せよという痛切なメッセージ。
下手な社会運動を起こすよりも、この曲を一回聴かせた方が効果的なのではないかと思うほどの説得力を秘めている。
今回はMVにCGが多用され、惜しみなく予算が投入されていることが窺えた。毎度のごとくダサい衣装すら、この曲のもつ近未来的な表情には適しているのではなかろうか。
そして15期メンバーの3名にとっては、これがシングルデビュー曲となった。
難解な楽曲を14~15歳の少女たちが自分なりに理解し、表現しようとしているのが伝わってくる。泣ける。
この曲は当初、2019年秋ツアー『KOKORO&KARADA』のタイトル曲としてライブで初披露されたもの。
次のアルバムにでも入るのかなと思っていたら、まさかの2020年第一弾シングルである。
おおよそJ-POP界でウケるとは到底思えないし、カラオケで歌わせる気も全然ない。
こういう実験的といっても過言ではないことを突然やってくるので、言いたいことが色々あってもこの事務所を嫌いになれない。
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