Socaというジャンルに興味を持って初めて聴いたのがこの曲で、文字通りひっくり返ってしまった。その速度と熱量にたまげたのである。
SocaとはSoul & Calypsoのこと。Calypso（カリプソ）は特にカリブ海の国トリニダード・トバゴで聞かれる音楽。
この国で毎年2月頃に行われるカーニバルはリオ・ベネチアのものと並び世界三大カーニバルとも称されており、このカーニバルに用いられる音楽としてカリプソが発展してきた。
2拍子を特徴としており、元来はカリブ的なかわいらしいメロディに泣きのコードを付けた、素朴ながらキュンとくる民謡といった趣だった。
ただこの近辺の音楽はレゲエやR&Bなどが渾然一体となり、それぞれの地域で独自の発展を遂げている。
カリプソもそういった他ジャンルの要素を取り入れながら、次第に現代的なダンスミュージックの様相を帯びてきた。
やがてシンセサイザーなどが一般的に用いられるようになり、「ソカ」に変化を遂げるものも現れてきたわけ。
この『Like Ah Boss』を聴いてすぐ分かるように、ソカにはBPM（Beat Per Minute）が圧倒的に速いものが多い。
またクラブミュージックとして聴かれることも想定していて、迫りくるような音圧がある。
この曲ははっきりとしたサビのない循環系の楽曲だが、劇的にコードが移り変わる部分でテンションはマックスに。
トリニダード・トバゴは長くイギリスの支配下にあったため英語が公用語。しかし住民は奴隷として連れてこられたアフリカ系・インド系の住民が大半。
またスペインに占領されていた経験もあり、英語にも独特のなまりがある。
さて、この曲を歌うMachel Montano（マシェル・モンタノ）は現在ソカ界のトップアーティストと呼んで差支えないだろう。
彼のライブパフォーマンスはとにかくエネルギッシュ。このテンポに乗って飛び跳ね、客を煽り、声高に歌い続ける。
実は2017年の夏に初の来日ツアーを果たしているのだけど、折悪くライブに出かけることができなかった。
一度生で体感してみたいものである。
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