謎のコンテンポラリーパフォーマンス集団Dakh Daughters。
2012年、ウクライナの首都キエフで旗揚げされた音楽&演劇プロジェクトで、7人のメンバーそれぞれが様々な楽器を担当するほか、異なる種類の方言で歌うとされている。
彼女たちの楽曲の歌詞の中には、著名な作家の作品から借用しているものが多分に含まれるらしい。
タイトルのЛюдина は「人間」を意味するウクライナ語。ピエロのような白塗りのメンバーは囁いてみたりうめいてみたり、申し訳ないが不気味である。
サビにあたる部分は<なぜこの世は悪であふれているの>という問いかけ。呪術的なメロディを口琴のビヨンビヨン音が彩ることで、より不気味さが増しているようだ。
そしてこの曲、ミュージカルというよりも演劇というべきか、全体がいくつかのパートに分かれる。
一連の流れの後で狂ったようにサビの文句を連呼したかと思えば、突如ガラリと雰囲気が変わる。
不安をあおるスローテンポとともに映し出されるのは、一人の男(クレジットでは「狩人」とされている)がなぶるようにウサギを虐待する様。
このシーンの楽器の使い方はアルゼンチンタンゴのようでもある。
そのままテンポとともにテンションを一気に上げてクライマックスへ。
「姉妹たち」の祈りもむなしく狩人がとどめの一撃をさそうとする瞬間、突然曲が終わる。色々と意味深な東欧ワールドなのであった…
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