曲を聴いただけでは「?」となるが、MVを最後まで見ると、あぁそういうことかと合点がいく。
英シンガー・ソングライターCalum Scott(カルム・スコット)のデビューアルバム『Only Human』収録のシングル。
1番・2番までの映像では、なぜこの主人公はここまでひどく虐げられているのかと気分が重くなる。
そんな我が子を抱きしめながら母は言う。
<自分自身を偽らないで どんなあなたでも愛してるから>
辛い幼年期・思春期を過ごしながらも、<母が僕を愛してくれる>というのを心の拠り所に大人へと成長していく主人公に思わず感情移入してしまう。
そしてブリッジからラストのサビにいたる流れ。
自分の足で立って歩けるようになり、望んだ愛をも手に入れた主人公に足りなかった最後のピース――父の登場である。
<自分自身を偽るな どんなお前も愛しているから>
主人公を抱きしめてこう言った父。
何があっても両親は自分を愛してくれるという確信を得て、真実の愛に包まれる。
一本の線のように物語が紡がれ、クライマックスが訪れる歌。思わず最後まで聴き入ってしまう。
何と言ってもメロディが良い。初期の鬼束ちひろを彷彿とさせる哀切きわまる音の運びは、日本人の琴線にも触れまくりではなかろうか。
歌詞にはオープンリー・ゲイであるスコット自身の体験を色濃く反映させたそうだ。
きっと「性」に限らず、自分が何者なのか悩み苦しむ者は世に多い。
両親がそんな自分を両腕で受け止めてくれる存在だった者にとっては、これ以上ない救いの歌であろう。
美しいピアノとストリングスの音に乗せて無償の愛を紡ぐ、稀代のストリーテラーである。
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