Bigflo et Oli(ビッグフロー&オリー)はフランス・トゥールーズで結成されたヒップホップデュオ。アルゼンチン人の父とアルジェリア系フランス人の母を持つ兄弟である。
93年・96年生まれでかなり若いのだが、2005年からYouTubeにオリジナル曲の動画をアップロードし始め、ヒップホップ歌手としては現在フランスで最も成功しているグループの一つになった。
その勢いを示すものとして、3枚目のアルバム『La vraie vie』(2017)は30万枚超を売り上げてトリプル・プラチナ認定。
次いで4枚目のアルバム『La vie de rêve』(2018)が第34回ヴィクトワール・デ・ラ・ミュジーク(日本でいうレコ大のようなもの)にノミネート。男性アーティストとアルバム(アーバン)の二部門で最優秀賞を受賞した。
この『Plus tard』はその『La vie de rêve』シングルカットされた曲。ヒップホップなのだけど、独特の哀愁には確かにシャンソンのエスプリが息づいている。
plus tardは英語のlaterにあたる言葉らしい。この歌では「いずれ=大人になれば」といった意味で用いられている。
子どものときの疑問。「いずれ分かるよ」と言われたけれど、時が経って大人になった今も理解できないまま。何も変わってないし何の解決にもなってない。
そんなやり場のない不満をぶつける曲。
人はそういうモヤモヤも全部飲みこんで「大人」になるのだろう。主人公は「大人」になりきれない、ある意味純粋で繊細な心を持つ者なのかもしれない。
というと聞こえがいいのだけど、宝くじを削りながら億万長者になる夢想をしていたり、<皿洗いしてくれる人が現れれば むしろ両親がずっと生きてれば全てうまくいくさ>などと考えている。
どちらかと言うと、どうしようもないダメ人間の話か。
ラストでは"plus tard"のリフレインが、プリュータ・プリュータ…と印象的に続く。
シビアな演技をしていた子役たちの笑顔が見られるのは和むけれど、結末はやっぱりピリリと引き締めてくるのがおフランスだね。
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