Phoebe Bridgersは米カリフォルニア州出身のシンガー・ソングライター。
2017年にデビューした後、2020年に発表した2枚めのアルバムPunisherが高く評価され、2021年グラミー賞の新人賞他にノミネートされた。
そんな出世作に収録される、ひときわ印象的なトラックがSavior Complexである。
「複雑な救世主」のような意味のタイトル通り、一筋縄ではいかない詩的な歌詞をもつ。
これは、心理学における「白馬の騎士症候群」と深く関連する言葉。
まずこの症候群というのは読んで字のごとく、思春期の女性が「いつか白馬の王子様(のように素敵な人)と出会うはず」という妄想状態に陥ることである。
その中で登場する人物の一人がSavior Complexらしい。彼は、とにかく人の手助けをしないと気が済まない人物として描かれる。
Bridgersは、これを自分の性格の浮き沈みとうまくやっていくための存在として、この楽曲に落とし込んだようだ。
<隠した悪夢はぜんぶ私に見せて 私は自分の悪夢をあなたに見せるわ>
やや共依存的な表現が紡がれている。
MVには、イギリスで空前のヒットを巻き起こしたドラマシリーズNormal Peopleの主演に抜擢され、一躍時の人となった俳優Paul Mescalを起用。
あどけなさと悲しみをその面影に宿す彼が、フィルム・ノワール的な映像の世界観にマッチしている。
ホラー的に現れながらも恐ろしい存在としては描かれないチワワは、荒んだ彼の心を救う存在だったのだろうか。
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