ハリウッドアクション大作『ワイルド・スピード ICE BREAK』(邦題)は、キューバ国内でのロケを初めて許可されたハリウッド映画としても注目された。
この映画のサウンドトラックに入っている『Hey Ma』は、そんなキューバの風を感じさせる情熱的なラテンナンバー。
Pitbull(ピットブル)とJ Balvin(ジェイ・バルビン)の共作クレジットで、Camila Cabello(カミラ・カベロ)をゲストに迎えている。
ピットブルもカミラもキューバ系アメリカ人。役者は揃ったというところか。
Hey MaのMaは恐らくMamacita、つまり(キューバの)カワイコちゃんのことだろう。
基本的には女の子にまつわる歌詞なのだけど、ところどころ「立ち上がれ、キューバ」的なメッセージがブッ込まれている。
キューバ共和国とアメリカ合衆国、そして亡命キューバ人との関係は実に不思議である。
国家レベルでは散々 敵対視していたキューバだが、実際のアメリカ国民は興味津々だったのだろう。関係が少し良くなっただけでえらい盛り上がり様だった。
また亡命したキューバ人たちも、心のどこかに「キューバ万歳」的な価値観を秘めているのだと思う。
MVのロケ地はマイアミのエスパニョーラ・ウェイというエリアのようだけれど、映像は極めてキューバ的だ。
特に冒頭の、建物の窓からカゴに乗せたラジオが降りてくるシーンなんて、さりげないけれどまさにキューバそのもの。
ちなみに初めてこのMVを見たとき、この冒頭シーンにカミラが登場して何じゃこの美女は!?と驚いたものだ。
当時Fifth Harmonyの存在もカミラの脱退騒動も知らず、後に彼女が『Havana』でソロデビューするに至ってようやく「Hey MaのMVの子!」と気づいた始末である。