メジャーデビューアルバム『Claudio Capéo』(2016)から三番目にシングルカットされた曲。
タイトルのricheはフランス語でrichの意味。この一言に金銭的な豊かさも精神的な豊かさも包含する言葉である。
この曲には父が息子を思いながらrichの意義を一人語るような歌詞がついている。
<息子よ お前は偉大な人間にはならないかもしれない それでもお前を誇りに思う>
<金持ちだろうと貧しかろうと 私たち二人は億万長者だ>
自分は父となることですでに豊かな人生になった。お前も立派な人間にならなくていい、ただ元気でいてくれれば…と続く。
どうやらこの曲は、今は離れて暮らす息子を思う歌のようだ。息子の顔を思い出し、いくつになったのだろうと考えながら。
フランス人というのは愛とか結婚について かなり複雑な概念を持つ人種なので、単純に離婚した元妻に引き取られた子…という構図に当てはめるのは不適切かもしれない。
ピアノの伴奏だけで奏でられる歌は美しく、哀しい。
波に揺れるような三拍子はバルカローレ(舟歌)のイメージだろうか。MVに描かれる親子もひなびた海辺に住んでおり、波止場を散歩したり釣り船に乗ったりしている。
ラストは<お前は父親を持つことで豊かになるだろう>と結ばれる。
今はまだ幼い息子が自分の存在を知り、それを誇りに思ってほしいということなのか。それとも新しい父親を迎えて幸せになれということか。
子を思う親の気持ちはいつの時代も切ないものである。
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