コテコテのアメリカン・ホームドラマ的なMVだが、曲自体は非常にムーディなネオソウル。
Kali Uchisは94年、米ヴァージニア州で育ったシンガー・ソングライター。
父親はコロンビアの出身で、Uchis自身も生まれはコロンビアである。キャリア初期はスペイン語の曲を作っていたこともあるようだ。
2015年に最初のEPを発表した後、2017年にスタジオアルバムデビュー。いきなり同年のグラミー賞にノミネートされるなど、現代R&Bシーンにおいて注目を集める。
「嵐の後」を意味するタイトルで、MVの冒頭では窓の外は暴風雨。いつの間にか晴れてお天気になっているようであるが。
after the stormという熟語は「雨降って地固まる」ということわざに近いニュアンスをもっている。なんとなく恋愛がテーマのようだが、理解するのは非常に難しい。
特にサビ前の歌詞は示唆に富んでいる。
＜ヒーローが必要なら 鏡を覗いてみればいい 今は誰も助けてくれないわ あなた自身が一番の助け＞
そしてそのまま励ましの声をかけるようなサビへ。
＜太陽はのぼる 良いことが簡単にやってくるとは限らない 生きることは大変だけど 勝者は途中で投げ出さないの だからあなたも諦めないで＞
と言いつつ、ラストはこう結ばれる。
＜太陽はのぼる でも私たちは終わりなく争い続けるのね いつか愛を見つけられるかしら だってもう嵐の後だもの＞
こう読めば、立場の違いから互いを批判し続ける現代人全体をさしているように捉えることも可能な気がする。
ラッパーはTyler, The Creator…Tyler, The Creatorで一人のアーティスト名である。芝生と一体となって歌う姿は斬新すぎる…
もう一人フィーチャリングされているBootsy Collinsは、かのJames Brownのバックバンドも務めた、現代最高峰のファンクベーシスト。
全体的にシンプルなトラックの中、ベースだけが自由に駆け巡っているように聞こえるのはそのためである。
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