1986年、米カリフォルニアで結成されたSugar Rayは、最も知られるサーフロックバンドの一つ。ヒップホップを巧みに織り込んだ楽曲作りが特徴である。
バンド名の由来はボクシング界の神様、シュガーレイ・レナードからであろうか。
彼らが1997年に発表したセカンド・アルバムFlooredからの一曲。
ジャマイカはキングストン出身のSuper Catをフィーチャーしているだけあり、レゲエがベースにある。
全体にヒッピー的なゆる~いトーンなのに、中間部のラップパートをはじめ、ところどころにバキバキのバンドサウンドを放り込んでくるところがツボである。
しかし、この歌のテーマはずばり「死」。曲調は明るいけれど、じっくりと歌詞を読むとなかなか切ない。
まず、おそらく歌の主人公が25歳のとき、最愛の母が天に召されるところから始まる。
後に続くのは<飛びたい あなたの腕に抱かれて>というもの。ここの捉え方は人それぞれだろうが、一緒に行きたいというニュアンスを感じる。
やがて"lovely girl"に出会い、新たな愛を知った主人公。その後の歌詞は一筋縄ではいかない。
<彼女にサヨナラを告げよう それからあなたの羽根を広げて 飛ぼう あなたの愛を広げて 飛ぼう>
主語がないので、誰に別れを告げ、誰と飛び立とうとしているのかが判然としない。
母の死を乗り越えて次の一歩へ踏み出そうとしているのか、それとも愛する女の子に別れを告げて母の元に向かおうとしているのか。
夏らしくポップなメロディだが、聴く者に様々な余韻を残す一曲
いずれにせよ、彼にとって羽根を広げるのはいつも女性らしい。自分で飛ぶつもりはないというのが、この歌の最大のポイントかもしれない。
ところでこのアルバム、日本国内では「シュガー・レイのアメリカン・ドリーム'97~爆走街道まっしぐら、俺らに勝る敵はナシ!!」という恐ろしい邦題を付けて売り出された。
こんな長いタイトル、ダサさ以上に実務上のデメリットしかなさそうだが、まぁなんというか…すべては90年代のVibesで解決、である。
ジャケットのビジュアルもなかなかの奇天烈具合で楽しい。
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