DJDD's FANTASTIC TUBE SHOW

クソDDのライト音楽ヲタが"make my day"な曲を好き放題語る

ハチドリの指す地を求めて【Huitzil/Porter】(2015)

新しいバンドの音世界がある。

 Porterはメキシコ、グアダラハラで結成されたインディー・ロック・バンド。

既存のバンドサウンドの概念にとらわれない先鋭的な音作りは、ある意味で非常にロック的といえようか。

特に2010年代中盤あたりは、メキシコ人としての民族的なアイデンティティを強く打ち出していたようだ。

快活な8分の6拍子に、急き立てるようなドラムパターン。これに対し、ベースラインは執拗に3拍子系のリズムを刻み続ける。

合間に入る打撃音があいまって、誇り高き民族が駆け抜けるような勇壮さがある。

MVでも、不思議な装束をまとう者たちがひたすらに駆けている。映し出されるのは追う者と追われる者か。

Huitzilは古代メキシコ民族のナフア族の言葉で「ハチドリ」を意味し、正確には「左のハチドリ」を意味するHuitzilopochtli(ウィツィロポチトリ)の名で知られる。

アステカ神話における太陽と戦を司る神で、「トルコ石の蛇」と呼ばれる武器を用いて兄弟をほろぼしたとも伝えられる恐ろしい存在。MVの終盤に現れるモノは「青いハチドリ」の姿だが、蛇のようでもある。

この神話には謎多きアステカ帝国の建国の秘密も編まれているそうだ。

アステカの民は首都を決めるにあたり、ウィツィロポチトリ神の神託に従って「サボテンの上に蛇を食らう鷲がいる土地」を探す。

200年の探索の果てについに見つけたのが、テノチティトラン(現メキシコシティ)であったという。この神託を表す紋章は、現在のメキシコ国旗にも採用されている。

<ここに来るのか あそこに来るのか分からない 選んだ道が真実に導いてくれるか 知る由もない>

出だしの歌詞からも、この神話にインスピレーションを受けた曲であることがうかがえる。

<青いハチドリよ、我にさらなる力を授けよ>

という願いに続くサビ。今にも悪夢が始まりそうだ…と悲痛に苛まれながら、昼も夜も探し求め続ける。誘惑や妨害に屈しそうになりながら、何かしら信念を貫き続けるものへの応援歌でもあるのだろう。

もはや雄たけびにも聞こえる「oh – oh – oh – oh – oooh」が最高に土臭い。これをライブで叫んだら、感極まりそうである。

Huitzil

Huitzil

  • ポルター
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  • ¥153
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