Joy Crookesはサウスロンドン生まれのシンガー・ソングライター。
本人は生粋のロンドナーではあるが、父はアイルランド、母はバングラディシュの出身と一風変わったバックグラウンドを持つ。その影響か、イギリス国内チャートでは「アジア」の枠でも集計されているようだ。
主にネオ・ソウルに取り組んでいる。13歳のときに参加したジャズとブルースのワークショップが、歌にのめり込むきっかけとなったそうだ。
その後、15歳のときにYouTubeに発表したカバーが注目を集めた。
歌手デビューを果たしたのは2016年、17歳のときである。これ以前にギター・ピアノ・ベースなど一通りの楽器を独学で触っていたことが、作曲の助けになったようだ。
本作は、2019年に発表した3枚目のアルバムPerceptionに収録。
ソウルなトラックでありながら、オルタナティブ・ロック的なビート感が印象的である。
特にリズミカルなのがBメロ。<私はただあなたの家に車を走らせて それからskrrt>という歌詞で始まる。
skrrtとはもともとドリフト時や急ブレーキ時に車輪が立てる「キキーッ」という音を表すオノマトペであるが、転じて誰かの前から立ち去ることを意味するスラングになったらしい。
曲名のhurtsもBメロに現れる。この解釈は難しいが、おそらく<あなたが私の家に来るときは 私はただ傷つくだけ>ということであろうか。
サビにはけっこう不気味な単語が並んでいる。
<日の光が私の部屋に忍び込もうとしている 今私はあなたを私の家に捕えた 私はもう影じゃないわ>
全体的にあいまいな表現が続くのだが、主人公の女は恋人からの扱いに不満を抱いているらしい。
自分の影に向かって話しかけられているような…つまり都合のいいときだけ利用されているような居心地の悪さを感じている。
しかし「そんなのはもう終わりよ」と妖しく微笑む姿がぼんやりと浮かび上がってくる。
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