2020年3月に行われる予定だった英国のバンドFoals(フォールズ)の来日公演。
COVID-19への対応で世界中が右往左往し、数々のアーティストの来日公演の中止が決まっていた渦中に、Foalsは「日本でやる」と宣言した。
当然その決断はファンの間で賛否を巻き起こしたものの、何を隠そうDJDDも「Foalsがその気なら行くしかない」と思っていたクチである。
しかし一転、その発表の数日後に「やはり延期やむなし」の報が届いた。
まぁ、そりゃそうですよね…。
個人的にはこの一連の流れ、直前に実施された東京事変の復活ライブに対する世間の反応も多少は影響したのではないかと思っている。全席指定の東京国際フォーラムですらあれだけ叩かれたのだから、ライブハウスでやるなど言語道断だろう。ましてや東京にいたってはStudio Coastという大箱だったし…。
で、日本各地のFoalsファン(と日本びいきのFoalsメンバー)が失意に暮れる中、唐突にアップされたのがこちらの映像である。
その名もWash Off、つまり「洗い流せ」という曲に合わせて、20秒間の手洗い動画がひたすら流れるというもの。
これは彼らの5枚目のアルバムEverything Not Saved Will Be Lostに収録されたもので、もともとMVは制作されていなかった。
それが何とまぁ時宜にかなったタイトルだったもんで、このような映像を即席で作ったのだろう。
手洗い映像とともに歌詞も全編表示されている。
この歌詞すら、「今回のウイルス騒動にあてて書かれた」と言われても納得してしまう内容で、運命的なタイミングである。
芸能人にとって興行が飛ぶというのは死活問題で、けっこう凹んでいるミュージシャンも多いはず。
そんな中でインターネットを通じたフリーライブを開催して世の中を元気づけようとしてくれるアーティストも多く、頭が下がると同時に凄い世の中になったものだと改めて感じる。
しかしですよ、このタイミングで手洗い動画を上げるというのは何、めちゃくちゃファン思いではないですか。
映像の最後にはご丁寧にウイルス対策まで掲載してあるし。ある意味めっちゃロック。
英国というのは、こういう有事の際に独特のユーモアセンスを発揮するお国柄なのだろうか。
メイ首相は「ハッピーバースデーを2回歌いながら手を洗いましょう」と呼びかけた。
そうするとちょうど20秒の手洗いになる、という寸法。小さな子供でも一発で分かる説明で、実に明快である。
あれこれ責めたり批判したりするのは後回しにして、まずは事態の収束に向けて団結しようという姿勢は見習うべきところがあるだろう。
何となく、ブレグジット騒動を経たイギリスは雨降って地固まり、一致団結の機運が高まっているのではなかろうか。
…と話が盛大に逸れたが、Foalsは日本のファンに向け「必ず戻ってくる。それまでチケットは大切に持っていてほしい」とメッセージを送った。
そりゃもう、いつまででも待つ所存である。
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