DJDD's FANTASTIC TUBE SHOW

クソDDのライト音楽ヲタが"make my day"な曲を好き放題語る

英国流リリシズム【Cold Blood/Bruno Major】(2017)

 ロンドンを拠点に活動するBruno Major(ブルーノ・メジャー)のデビューアルバム『A Song For Every Moon』(2017)より。

 Sportify上での12ヶ月連続リリースプロジェクトのうちの一曲である。

文学王国イギリスらしい詩的な世界が広がる。

長い旅を経てある場所にたどり着いたらしい少年。彼に<こっちにおいで坊や 少し休んでいくといい>と語りかける者は水をワインに変える者=神のような存在であるらしい。

歌詞の選び方も"普通"とは違う。例えば"Intoxicating creation and endless elation"という部分。<夢中にさせる創造と終わらない高揚>とでも訳せるだろうか。聞き慣れない語句で韻を踏んでいる。

そしてサビの解釈が非常に難しい。"In cold blood"で始まるサビは、直訳すると<冷酷にお前を食い尽くす> といきなり不穏な調子になるのである。

Majorの声とギターサウンドに「血の通った」温かみがあることで、余計にこの歌詞の異質さが際立つ。

それから<お前を地面より6フィート下に埋めながら 愛していると言うだろう>と続くが、「地面より6フィート下」というのは棺桶が埋められている場所の比喩表現だそう。

けっこうミステリアスな情景なのだけど、語り口が比較的淡々としているため叙事詩を聴いているような趣もある。

DJDDが思いついた解釈は以下の二つ。

①ヘンゼルとグレーテル的な、子供を食う魔女の物語

②「長い旅」=闘病の果てに眠りにつく我が子への鎮魂歌

一つ目は、歌詞を初めて読んだときC.マッカーシーの『ザ・ロード』というアメリカ小説を想起したことから。赤子を焼いて食うことも厭わない終末世界の話である。

二つ目だとサビ後半の<お前が去る時 私は既にお前を知らないと断言するだろう>という不思議なフレーズの説明がつきづらい。死を実感しないよう、感情を押し殺して我が子の棺桶に土をかぶせる親心か。

YouTubeでも「結局これは何の歌なんだ?」という疑問のコメントがあり、Majorのライブに行ったという人が「レーベルから不当な扱いを受けていた時期に思いついたって言ってた」と返事していた。

皆さんはこの曲から どのような印象を受けるのだろう。

 

Cold Blood

Cold Blood

  • Bruno Major
  • オルタナティブ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

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