イタリアの人気オジサン歌手によるユニット、Fabi Silvestri Gazzè。Niccolò Fabi 、Daniele Silvestri、そしてMax Gazzèの3人衆である。
3人ともフォーク・ポップ・ロックあたりを行き来しているシンガー・ソングライターで、このユニットの音作りは日本ではチューリップのイメージが近いかもしれない。
そよ風のように優しく歌われるこの曲のタイトルは「愛は存在しない」。
冒頭の歌詞がもう、渋い。
<愛なんて存在しない その場で出てくる決まり文句みたいなものさ>
その後の歌詞はけっこうえげつなくて、わぁここまで言っちゃう?という感じ。酸いも甘いも嚙み分けた大人の歌である。
サビの結びはこう。
<似たようなものを見つけられるさ 愛なんて存在しない けれど君と僕がいる>
全体に歌詞はかなりふんわりとしているので、解釈は聞き手に委ねられるだろう。
愛に破れた者たちが、愛の代わりとなるような別の希望を得て進むような話だろうか。
そして、その一つが音楽なのかもしれない。
3人のうちの2人はギター弾き語り、Max Gazzèはベース弾き語りが普段のスタイル。MVラストではみんなで音を鳴らしている。
人生の後半、いろいろなものを喪失した男たちが集まって音楽に救われる…こういうプロットの映画がありそう。
長いアウトロではトランペットも登場。次第に高みに上っていくサウンド。これからの人生を祝福しているかのようでもある。
長い時間をかけて心に刻まれた傷を癒すような、優しさを感じる。
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