The Theは、ポスト・パンクというジャンルの潮流に乗って英国に現れたバンド。
70年代後半から勃興してきた、UKのパンクの流れを引き継ぐニューウェーブという解説が一般的なのだけど、The Theのデビューもまさにその時期である。
ボーカルのMatt Johnson以外のメンバーは流動的で、実質Johnsonのソロプロジェクトと捉えられているようだ。
80年代的な8 bitサウンドによるロックンロール。シンセサイザーのべた弾きは少しオルガンのようでもあり、ゴスペルで歌われても違和感がなさそう。
ハッピーな音色ではあるけれど、ブルースハープの響きはどこか郷愁を誘う。
実際、歌詞にもそんな切なさが現れている。
<君は古い手紙を読んで どれだけ自分が変わったしまったかを考えながらほほえむ>
<世界中のお金を集めたって あの日々を買い戻すことはできないのさ>
明言されているわけではないけれど、この歌の「君」は、若いころには考えもしなかったような「普通」で「幸福」な生活を送っているようだ。
恐らく、タイトルのDayはなにげない一日のことであり、ひいてはそれを積み重ねた人生のことをも指すのだろう。
なにげない朝の様子を描くサビが美しい。
<君がカーテンを引くと 太陽の光が目に降り注ぐ そして君は 飛行機が青空を横切っていくのを見ている>
<これが人生ってもんさ 落ち着くところに落ち着いたんだ>
別バージョンもYouTubeの公式アカウントに上がっている。
全体的にテンポも落とし、マイルドなロックンロールにブルースハープが心地よい。
こちらは楽曲発表から10年が経ってからのアレンジで、ファンの間では"That was The Day"と呼ばれているらしい。
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