ベルギー生まれのMoli(モリ)はインディーポップスシーンにデビューしたシンガー・ソングライター。2018年7月に初のEP『Résumé』をリリースしたが、この当時19歳という新星である。
イギリスの血も引いているようで、自身の母語は英語とフランス語。なのだけど、現在は独ベルリンを活動拠点にしている。
résuméは「レジュメ」の語源にあたるフランス語で、自身の概要紹介といった意味だろうか。『Comfortable』もこちらに収録されている。
まずはハイトーンながらどこか影のある声質にハッとする。
ガラスが割れるような音、そしてぎこちないリズムが印象的なトラックからはストロボ映像のような印象を受ける。
歌もそのリズムに絡むように、ちょっと後ろに引っ掛けるようなフロウ感がありクセになる。
敢えてかっちりとしたリズムにはめないのは、音楽としてはむしろ"不完全"。こういうアプローチが増えてくる時代になったのかもしれない。
さて、リズムは不安定なのにタイトルは"comfortable"なのが面白いところ。
ただこの主人公、退屈なルーティンを繰り返すだけの"快適"すぎる日々に飽いているようだ。
<私たち落ち着きすぎちゃったね>
<あなたに名前を呼ばれるだけで刺激的だった日々が懐かしい>
<私たちが辿り着いたのは快適な日々 でもこれは私のゴールじゃなかった>
歌われているのは大方こんなところ。
19歳にしてこんな気怠い心境を歌ってしまっているMoli、なかなか興味深い逸材である。
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